自転車通勤あれこれ
通勤経路
CEN 兵庫県香美町にて
ESCAPE 兵庫県新温泉町居組にて
PPECISION 砂丘サイクリングロードにて
主な消耗品と交換費用
単価
交換距離(km)
交換回数
総交換費用
ギアワイヤ
¥1,700
4000
3
¥5,100
ブレーキワイヤ
¥1,700
4000
3
¥5,100
シャフト
¥2,400
4000
3
¥7,200
タイヤ(前後)
¥6,000
4000
3
¥18,000
チューブ(前後)
¥2,400
4000
3
¥7,200
14年前から自転車通勤をしています。今の家に引っ越してから10年になる区切りに、この10年間のデータや感想などを記してみます。自転車通勤を検討している人の参考になれば幸いです。
経路
鳥取県の岩美駅の近くから、鳥取市浜坂の職場まで片道13.6kmを往復しています。途中、標高66mの
駟馳山峠
と標高64mの鳥取砂丘を越えなければなりませんので、小さな起伏(主に橋)も含めると往復約320mの上り下りがあります。
使っている自転車
9年前までは2008年に購入したGIANTのESCAPEを主に使っていましたが、2013年5月にLOUIS GARNEAUのロードバイクCENを購入し、以降、雨の降る心配がなく荷物の少ない日はCEN(積算18870km)、雨の降る心配が多少あるか、荷物の多い日には荷台を着けているESCAPE(10年積算15400km)、雨の日には泥除けのある"あさひ自転車"のPRECISION(6年前まで2008年モデル、それ以降2014年モデル)等を使っています。
所要時間
筋力が低下したせいか気合が足りないのか10年前より5分ほど余計にかかるようになり、ふつう片道60分(14km/h)、強い向かい風の時は65分を越えることもしばしばで、逆に強い追い風の時は55分を切ることもあります。気分のせいか抵抗が少ないせいかまだよくわかりませんが、ロードバイクのCENの方が平均して3分ほど早く着きます。
自動車では片道約22分です。往復で76分余計にかかることになりますが、ジムにでも行って運動していたと思えば、さほど時間のロスでもないと思います。
自転車通勤の比率
一日中雨の日、積雪がある時、とても忙しい時、送迎のある日、体調がすぐれない日などはマイカーもしくはバイク(スーパーカブ50)で行っていて、この10年間、自転車で通勤した割合は87%です。総走行距離はレジャー走行約600kmを除き1800kmです。出張が激減したこの2年間は年間5000km近く走れました。 日本海側ゆえ、図のように雨や雪の多い冬に自転車通勤の割合が少なくなります。自転車通勤の割合を高めるため、職場に自転車をもう一台常に置いておき、行きに雨のため自動車で行っても、帰りに降っていなければ自転車で帰ることがあります。逆に朝には降っていなくて、夕方降る日に、職場に自動車が置いてあれば自動車で帰ります。駐車場や駐輪場に余裕がなかったり規制が厳しければ使えない手ですが、行きも帰りも降る日は稀なので、雨の日に無理することなく、しかも自転車通勤の割合を高めるには有効です。6月中旬から9月中旬にかけてはレインウェアを着ると汗だくになってしまうため、水はけのよい生地のポロシャツと水着を着て濡れながら行き、職場で持参した着替えに着替えています。
雨や雪の頻度
雨の予報でも行きの出発時に降っていなければなるべく自転車で出かけるようにしています。帰りに降っていないこともわりと多く、冬に雨や雪の多い日本海側にもかかわらず、この10年間、雨の中を走行したのは(片道を1回と数えて)走行回数全体の7.4%で、雨や雪や強風や猛暑のためにクルマやバイクを利用した割合はわずか8.3%です。
雨や雪は自転車通勤の障害ですが、
予報では雨マークが入っていても、走る時間に降っていることは意外と少ない
です。
気象庁のサイト
で公開されている気象データを解析したところ、鳥取では2012/6/29から2013/6/28まで165日で降水がありましたが、そのうち8:00から19:00までに降水があったのは42回、18:00から9:00までに降水があったのは47回と、3割弱しか通勤時間帯には降っていません。
全日数の12%程度
です。実際、強風や路面の積雪により走行できなかった日も含めた悪天候率は14%でした。東京では112日で降水がありましたが、そのうち8:00から9:00までに降水があったのは21回、18:00から19:00までに降水があったのは23回、
全日数のわずか6%程度
です。つまり、雨が予報されている日に自転車で出かけても実際には降られないことの方が多く、合羽を着なければならない日は滅多にないのです。また、
気象レーダーによる1時間後までの降水予報
はたいへん有用です。これで退社時間を少しずらしたりすればさらに雨中走行を減らすことができます。
パンクの頻度
パンクによる遅刻の心配は確かにありますが、これも磨り減っていなければ滅多にありません。平均すると、
走行約2570kmに1回
です。つまり、遅刻が許されない場合にパンク修理に要する時間を織り込んで20分くらい前倒しして出発することもありますが、その必要はきわめて低いです。
事故の頻度
最近、自転車による加害事故の報道が多いですが、珍しいからニュースになるのであり、
走行距離あたりの加害のリスクは自動車に比べ約1/30と桁違いに低い
1)
ことは再認識されてもいいでしょう。加害リスクが桁違いに低いことは自転車の利点の一つですが、怪我の不安も自転車通勤を遠ざける理由の一つでしょう。たしかに、走行距離あたりの乗員死亡率は自動車の7倍ほどあります。それでも走行距離1億kmあたり1.3件と、限りなくゼロに近い確率です。交通事故として届け出されない程度の軽微な事故についてはなかなか統計がないようですので、ここでは私自身について報告します。この10年間に、軽症を負った転倒自損事故が5件(縁石上の反射板にハンドルをぶつけたことによる転倒と、冬の夜にアイスバーンの上を走ってしまったことによる転倒3件と夜間の前方不注意による田んぼへの落下)ありました。
走行距離8600km、運転617時間につき1回の軽症事故(転倒)
という頻度になります。多くはどちらも考え事をしていて注意が散漫になっていた結果であり、常に十分注意していれば防げた事故です。また、アイスバーンについては最近はそのリスクのある時にはなるべく乗らないか、危ない区間だけ歩くことで防いでいます。同じミスはしばらくは繰り返さないと思いますが、これだけ走っていれば2年に1回くらいの転倒はしかたないかなと思っています。もちろん、個々人の注意力や運動神経により事故率は大きく異なるでしょう。あくまでどちらも低めの私の頻度です。
1)自動車対自転車及び自動車対歩行者の死亡事故は走行距離1億kmあたり0.29件。自転車走行距離が国民平均で1日1kmと仮定すると、自転車対歩行者の死亡事故は走行距離1億kmあたり0.011件(平成23年度)。過失割合を考慮せず、自転車対歩行者では常に自転車が加害者、自動車対自転車及び自動車対歩行者では常に自動車が加害者と仮定。
ダイエット効果
計算によれば往復500kcalくらい消費しているはずなのですが、体重は10年前と比べほぼ変化なく、未だに"推奨体重"(医学的根拠に疑問あり)を10kgくらいオーバーしています。一時期は5kgほど増えさえしました。要は食べ過ぎということでしょう。つくづく実感するのは、27.2km・高低差320mも走って500kcal(サラダ油にして60cc)しか消費しない自転車の燃費の良さ(サラダ油1リッターあたり450km!)です。
支出節約効果
通勤手当が自動車と同程度の額であれば、自動車と比べ、多少は支出の節約になります。仮にクロスバイクとヘルメットを合計55,000円で購入して、乗り潰すまでに15,000km走ったとしましょう。主な消耗品と交換費用を考慮すると、消耗品に42,600円ほどかかります。追加距離あたり2.8円/kmとなります。初期費用も加えた平均費用は6.5円/kmになります。その場合でも積雪(2%)と強風(0.6%)の日はさすがに公共交通を使わなければならないでしょうから、公共交通が40円/kmとすると、(40x0.026+6.5x(1-0.026)=)7.3円/kmとなります。 自動車の場合、購入に約120万円要する軽自動車と比べると、追加距離あたりガソリン代込み(160円/L,20km/Lで計算)でおよそ10.2円/km、初期費用や税金、保険も加えた平均費用はおよそ28.2円/kmになります。もし自動車を買わずに自転車と公共交通で我慢した場合と比べると、(28.2-7.3=)20.9円/kmとなり、かなりの節約となります。どちらも所有する場合、
1kmあたり7.4円、往復28kmで207円節約
したことになりますが、自転車通勤を労働と捉えれば、時給163円では割に合いません。それでも、ダイエット、健康増進、気晴らし、低い加害リスクと環境負荷など金銭評価の難しい他の様々な効用を勘案すれば、自転車通勤はやっぱりおすすめです。